「雲のむこう、約束の場所」感想(新海誠/原作 加納新太/著)
こんにちは。いもけんぴです。
久しぶりに本を読んだのですが、内容がよかったので紹介します。
今回紹介する本はこちら。
「雲のむこう、約束の場所」です。
もともとは「君の名は。」で有名な新海誠さんの長編アニメーション。
その長編アニメを小説にしたのが、今回紹介する「雲の向こう、約束の場所」です。
簡単にあらすじをお伝えすると、
戦争によって北海道以北と北海道以南で分断され、日本がばらばらに。北(北海道)はユニオンという国に占領され、「エゾ」という地になります。
主人公はもともと飛行機を自分で作って自分の飛行機に乗るのが夢でした。そして、好きだった女の子サユリを乗せて、一緒にエゾに行くことが夢でした。しかし、突然サユリが失踪。
自分の夢のために作っていた飛行機が、いつのまにかサユリのために作っていたんだと主人公は気づき、燃え尽きてしまいます。
主人公は夢を失ったまま思春期を過ごすのです。
だいたいこんな感じの話なのですが、僕がこの本を読んで惹かれた点がいくつかありました。共感できた点、惹かれた点を中心に書いていきたいと思います。
夢を失った自分と重なった
僕がこの本を読んで、一番自分に重なる部分がありました。
それは、「夢を失った」ということ。
夢を失って、いつも未練たらたらで心が空っぽのまま生きていく・・・
なんか悲しいけど、今の自分に重なる部分がありました。本当はやりたいことがあったのに、もうそれはできない。やりきれない気持ちをどこかに感じながら今日も生きていく。夢を叶えられず夢を失って生きていく。
僕も夢がありましたが、結局その夢を叶えられませんでした。そして、毎日同じことの繰り返しのような日々を歩んでいます。キラキラした生活、少年時代に憧れた将来の自分・・・
夢を失った人間って、本当に空っぽの人形のようになってしまうんですよね。読んでいる途中で夢を失った主人公の描写が幾度となく描かれますが、心にグサッときました。毎日運動場をぼーっと眺めながら終える一日。家に帰ってすることが無く寝転ぶ日々。
そして何でもできたあの頃の気力はすっかりなくなってしまっている。
あのころの、中学三年の夏のぼくなら、きっと同じことが何度もできただろう。少なくとも、何度でもできるという自分への確認は持てただろうと思う。あのころの、あふれんばかりの力は、いったいどこに行ってしまったんだろう。
そういった描写が、諦めたくなかった夢を諦めて生産性の無い?日々を過ごしている自分にリンクして心が締め付けられるような思いになりました。
見どころは主人公の決心
ちょっとだけネタバレしてしまうと、この物語は飛行機づくりという夢を失って魂が抜けたような状態になった主人公が、あるきっかけでもう一度飛行機づくりにチャレンジすることになります。
しかし、一度燃え尽きてしまった主人公が再起を図るまでに様々な葛藤があります。最終的にはもう一度自分は飛行機をつくるんだ、飛行機のように、もう一度自分は大空に飛んで見せるんだ、という姿勢を見せるのですが、そこに至るまでの心の動きが見どころだと思いますね。
失ったもの(夢)をもう一度取り返そう!と決心するシーンは結構かっこいいので読まれる方は見逃さないようにしてほしいですね。
失ったものの大切さに気付き、このままでは死んでも同然と、死ぬ覚悟で失ったものをい戻そうとする主人公に注目です。正直かっこよかったです・・・
雲のむこう、約束の場所とは
総じていえば、「夢を取り戻す物語」だと僕は解釈しています。雲のむこうにある、約束の場所を目指す、という表現で、「失った夢と青春を取り戻す」という意味が込められていると思います。
「飛行機に乗って大空をもう一度飛んでみたい」と願う主人公の心の動きにリンクして、僕も少しもう一度やり直してみたいな、自分の理想に近づけるように頑張ってみようかな。と思わせてくれる物語でした。
全体的には暗鬱な感じがする物語なのですが、またもういちど飛んでみようという勇気を与えてくれる希望に満ちた物語です。
空っぽになりかけていた僕が、「雲のむこう、約束の場所」という小説に出会えてよかったと思っています。
この世の中にはきっと僕と同じように翼を失くした人がいると思います。そういった人に読んでほしいと思います。
ぜひ興味があれば、読んでみてください。
▼アニメーション版もあります!!
それでは('ω')ノ