くらすたぁ

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「松屋の牛丼値上げ」から考える【低価格戦略】の落とし穴

平均読了時間:4分

 

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少し話題的に遅れているかもしれませんが。

www.nikkei.com

松屋の牛めしが値上がりしました。牛丼並盛が300円を切っていたことで有名な松谷でしたが、今回の値上げによって牛丼の並盛が

290円→320円へと値上がりました。

 

牛丼チェーン店はこぞって「牛丼の安さ」を売りにしていました。実際昼飯を安く抑えたいサラリーマンや学生を対象に人気がありました。かつては安値競争も活発になり、ほとんどの牛丼チェーン店の牛丼並盛が300円を切っていたこともありました。

 

しかし、近年ではかつての安値競争とは打って変わって、どの企業も値上げをしようという動きに変わっていています。そして松屋が値上げをせざるを得ない状況になりました。松屋が値上げを強いられた主な理由は「人件費」による影響です。これは今牛丼業界全体で起こりつつあることなのです。

 

人件費が高騰したことによって利益を得るため商品の値上げをしないといけなくなったことが今回の値上げの原因です。では、どうして人件費は高くなってしまったのでしょうか?

 

低価格戦略は正しい選択だったのでしょうか?

 

人件費高騰=労働環境の悪化

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今や牛丼チェーン店のアルバイトの時給は1000円を超えているそうです。都内では基本給が1100円、深夜帯は1400円にもなると聞きました。この時給ははっきり言ってパチンコ店のアルバイトの時給とほぼ変わらないといってもいいでしょう。ここまで時給を上げる必要があるのは、やはり人員を確保できないからでしょう。資本主義社会では多くの利益を得る必要があるためにできるだけ人件費を抑える必要があります。しかし、それができていないのは人員が不足して営業に支障をきたしているからでしょう。

 

netallica.yahoo.co.jp

なぜこんなにも人員が減ったのかには理由があります。少し前に、「すき家」の深夜帯のワンオペが発覚した時です。人員が確保できないのか人件費を抑えたいのかわかりませんが、ワンオペせざるを得ない状況になったのだと思います。そのために、すき家がブラック企業であることは明白になるどころか、「牛丼チェーン店全体に牛丼業界はブラックだ」というイメージを植え付けることになってしまいました。

 

アルバイトが働き先を見つけるときの「時給・労働環境」のは重要な要素です。労働環境が劣悪とみなされてしまったすき家は一時期人が辞めすぎてしまって深夜営業をストップするまでに追い込まれました。人件費高騰の理由には「労働環境が悪いというイメージがついた」ことにあるといえるのではないでしょうか。

 

ワンオペとは

従業員一人に店の管理を任せること

労働環境の悪化は薄利多売戦略によるもの

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なぜ労働環境が悪くなってしまったのか。様々な要素があると思いますが、個人的に牛丼業界だから仕方なかったとも考えています。安さを売りにしていた牛丼業界だからこそ「いつか必ず迎えるはずの結末」だったと思います。

 

そもそも、「安さを売りにする」戦略を業界全体でとっている時点で労働環境が悪くなり、人件費が高くなり、商品を値下げできないというジレンマに陥ることは必然だったように個人的に思います。

 

企業の戦略として「薄利多売」という戦略があります。薄利多売と言うのは商品の単価を下げることによって利益を生んでいくという戦略です。市場の人々は値段の違う全く同じ質の商品があった時、安い方を必ず選びます。というのは安い方を買ったほうが効用が高い(安く変えたほうがお得!!)からです。ですから、同じ牛丼があったら安く売っている店を選ぼうとするのが消費者の選択です。

 

安く売っている店にお客さんが来てくれるので、こぞって牛丼の価格をさげて集客する低価格戦略を企業は取りました。その結果、どのチェーン店でも300円を切るようになりましたが、低価格戦略は一時的に集客が見込めるものの、最終的にはこれ以上下げたら損失が出る可能性があるというラインで停滞してしまいます。そして全企業が同じような価格に落ち着きます。

 

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だから結局低価格戦略は一時的で、最終的には牛丼業界全体の商品の価格を下げただけになってしまいます。

 

利益を生むつもりが各企業が同じ戦略を取ったために業界全体の売り上げを少なくするという結果になってしまいました。そうなると次のようなことが起こります

 

 

「利益を生むために大量に商品を売る必要が出てくる」

 

 

利益を生むために大量に商品を売らなければいけなくなります。(利益率が低くなっているため)そのために、アルバイトは大量に牛丼を作って大量に牛丼を売らなければいけないのです。しかも一つ当たりの利益はすくない。かつて低時給だったような環境でアルバイトの負担が増えるようなところでは「なんのためにやっているのか」という気持ちにアルバイトが考えても仕方ありません。こうしてだんだんと人は少なくなっていき、深夜帯は人が少なくワンオペ、という最悪の状況になってしまいました。

 

低価格戦略のデメリット

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低価格戦略は労働者の負担を増やすことにつながると先ほど説明いたしましたが、デメリットはそれだけではありません。消費者になり切って、もう一度状況を想像してみてください。

 

牛丼が安くなると、牛丼が安く食べれるという事で食べに行くでしょう。しかし、それが1年2年と月日がたてば、人は「かつての値段の牛丼」を忘れてしまいます。安い牛丼に慣れてしまい、牛丼は安いものだという固定観念がつくようになります。だから、消費者は牛丼は300円以内で食べれるものだという考えしかなくなってしまうのです。

 

しかし、企業側はどうでしょうか。薄利多売の低価格戦略を取ってしまったおかげで利益率が低くなり従業員の負担は増えるばかりです。次第に人員が不足してしまって時給を上げて従業員の募集をしようか考えているところでしょう。しかし、値上がりをするともっと売れなくなる可能性があります。人々は牛丼が安いものだと思っているのに値上げをすると安いことがストロングポイントだったのに、それがなくなるからです。

 

woman.infoseek.co.jp

 

価格に慣れた消費者は「安くない牛丼なら食べなくてもいいや」と思ってしまうのです。このような理由でなかなか企業としては価格を上げたいのに上げられません。これもすべて低価格戦略を取ってしまったからなのです。実際、吉野家はコストに追われて牛丼の値上げをしましたが客足が遠のいていってしまっています。吉野家の悪夢ともいわれているので興味があればこちらの記事も読んでみてください。

www.itmedia.co.jp

 

低価格戦略、薄利多売から考える値上げ

今回松屋が値上げをしたのも人件費が高くなりすぎたことが原因かなと考えています。時給が1000円あたりに対して商品の価格が低いままだと売り上げも落ちてしまいますので苦渋の決断だったと思います。吉野家の前例があるために松屋も苦戦を強いられるのではないでしょうか。

 

これらの事態は牛丼業界全体で低価格戦略を取ってしまったから起きたことなのですが、企業の戦略の選択として「低価格戦略を取らざるを得なかった」というのが正しいでしょう。これはゲーム理論が絡んでくるのですが、今回は長くなってしまったのでゲーム理論と低価格戦略についてはまた後日書いていきたいと思います。

 

僕が調べたりして思ったことを書いているので、もしかしたら違う点があるかもしれません。間違いや意見があれば指摘していただけると嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

それでは('ω')ノ