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「R帝国」中村文則の覚悟に泣いてしまいました・・・

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こんにちは。いもけんぴです。

 

突然ですが、あなたには好きな作家さんはいますか?

みんなそれぞれに、好きな作家さんはいるかと思います。

 

さて、「中村文則」さんという作家をご存知でしょうか。中村文則さんは愛知県の出身の作家さんで、僕が一番尊敬している作家さんです。今回は、中村文則さんの「作家としての覚悟」に感動したので、そのことについて書かせていただきます。

 

中村文則さんとは

中村文則さんは、現在40歳になる作家です。2002年に「銃」という小説でデビューし、数々の賞を獲得してきました。作家としての実力は素晴らしく、その実力は、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナル紙で、「掏獏(スリ)」という小説が年間ベスト10の小説に選ばれるほどです。【2012年】

 

日本だけでなく、アメリカでも高い評価を得ている中村文則さん。そんな彼が信念として持っている作品への考え方が素晴らしいのです。ぜひ、中村文則さんという作家さんを知ってほしいと思い、今回は紹介させていただきます。

 

「R帝国」という作品

皆さん、「R帝国」という作品をご存知でしょうか。「R帝国」は、R帝国とその隣国が戦争をしていくところから始まります。「朝、目が覚めると戦争が始まっていた」という冒頭からいきなり始まる小説です。

 

小説には様々なジャンルがありますが、この小説は「ディストピア小説」というジャンルに分類されるようです。「ディストピア(dystopia)」とは反社会的思想で、ユートピア(理想郷)の反対語に当たります。社会に対して否定的な内容を多く含み、ディストピア小説には戦争や社会思想などの社会的な内容が含まれることが多いです。

 

「R帝国」も例に漏れず、戦争や政治に視点を当てて書かれた作品となっています。

 

なぜ「R帝国」を書いたのか

今回僕がこの記事を読んでいるあなたにお伝えしたいのは、「R帝国」の作品としての魅力ではなく、「R帝国」を書いた中村文則さんの意志と作家としての覚悟です。

 

「R帝国」は、戦争と政治を多く含んだディストピア小説です。反ユートピア要素を含んでおり、端的に言ってしまえば「ヤバい小説」。Twitterで例えるなら、炎上不可避の内容ということになるのでしょうか。ただでさえ政治内容を発信したらいろんな人からたくさんの意見や批判を受け、炎上する世の中です。

 

そんな現代で、中村文則さんは「R帝国」を作り上げたのです。

 

なぜ、中村文則さんは「ディストピア小説」を自分から進んで書こうと思ったのか。その経緯についてのインタビュー記事がありましたので、そこから少し引用させていただきたいと思います。

 今回の小説は、この内容だったら映画でもテレビでも無理だろうなと思ってて。小説媒体じゃないと表現できないんじゃないでしょうか。「あ、大分ヤバいもの読んでるな」って思う人が多いと思います。以前の『教団X』にも同じような感覚を持った人が多いと思うんですが、今回は、あれ以上に踏み込んで書いていますので。

中村文則の最新作『R帝国』は「『教団X』以上にヤバい内容」。覚悟を決めて書いた理由 - T-SITE LIFESTYLE[T-SITE]

 

 それはやっぱり、現在が右傾化しているという危機感があるからです。フェイクニュースであるとか、メディアの委縮、ネット上の差別などがものすごく広がっているなかで、作家として何ができるだろうと考えて、こういう小説になりました。これ、映画化とかしようと思ったらかなり省略しないと無理だと思うんですよ。そういう意味でも、小説ならではの魅力を味わってもらえるんじゃないかと。
これだけいろいろなものが溢れているなかで、どうやったら小説を手に取ってもらえるかって考えたら、やっぱり小説でしか味わえない何かがないといけない、と。

中村文則の最新作『R帝国』は「『教団X』以上にヤバい内容」。覚悟を決めて書いた理由 - T-SITE LIFESTYLE[T-SITE]

 

中村文則さんは、自分でもヤバい内容(攻めている内容)と書いているとわかっていて、「教団X」、「R帝国」を書きあげました。炎上、批判されかねないような内容をなぜ自分から進んで書くのか、なぜ書かない選択肢のほうが作家としても安全だったのに書いたのか。そこに僕は疑問をずっと、「R帝国」を読んでから思っていました。

 

「R帝国」を書いたのは、「作家」という職業に対する想いからだった

その疑問は、先日たまたま紀伊国屋書店に行くと判明しました。僕が「R帝国」を読んでからずっとどこかで引っかかっていた疑問についてです。

 

「R帝国」がキノベス!(紀伊国屋のランキング)で1位を取ったときの彼の特別寄稿に記されていました。

 

ここには作家としての覚悟、作品への想いが書かれていました。要約すると、

・本には世の中を変える力がある

・世の中の流れに危機感を覚えていて、自分がそれを表現できるのは本しかないこと

・自分がこの問題から目をそらすのは、読者に対する裏切りであること

・安泰の道もあったが、覚悟をもって書いたこと

 

ということでしょうか。

 

現在日本が危機に瀕しているのに世間は不倫の話に夢中であったりとか、マスコミが情報操作していることに関して無関心の国民であったりとか。みんながそうではありませんが、彼は少なからず今の日本の現状に危機感を抱いたのだと思います。そして、その警笛をこの本は鳴らしている。この本は、本気で今の日本を変えたいと思っている。

 

誰かを変えたいと思っている。

 

気づけば、僕の目からは涙が出ていました。今までめったに泣かなかった僕が、ポケモンの「ヒトカゲがサトシの仲間になる話」以来泣かなかった僕が、涙を流していました。

 

なんだか心が満たされたという感じ、自分がずっと追い続けてきたものが目の前にあったような気がして、自分とリンクしたのでしょうか。僕はいつか誰かの人生に影響を与えられるようなブログを書きたいと思っているし、今もそのために少しずつですがブログというものを勉強していっています。

 

本当に趣味程度でやっているブログですが、そんなブログにも小さな影響力があると信じたい。もしかしたら何も変えることができないかもしれない、誰の役に立つかわからない。でも、「文章」というものに秘められた力があると僕は信じています。

 

自分のために書く、というのはもちろんなのですが、「誰かのために書く」ということ。自分は誰かのためにブログを書いているんだという想いが、彼の特別寄稿とリンクして思わず共感してしまったというか。

 

自分の中でだんだんと薄れていた感覚が、中村文則さんの寄稿によって呼び覚まされたとき、やはり「誰かの文章は人に影響を与えることができるんだな」と再確認させられました。今の自分に突き刺さっているようで、気づけば涙が出ていたような・・・そんな気がします。